このプロジェクトについて

次の100年を、
旅人の皆さんと一緒に作る。

国内外から多くの観光客が訪れる黒川温泉では、 地元の名物として「あか牛」が提供されてきました。 しかし、そのほとんどは 幼年期のみ地元で育てられたもの。 最初から最後まで地元産のあか牛を育てることは、 黒川温泉にとっても、南小国にとっても大きな意味を持ちます。

この地では、昔からいくつもの循環の輪が存在しています。 1000年以上前から人の手で維持されてきた草原。 牛が重要な役割を担う、循環型農業。 人々を招き入れ、癒してきた黒川温泉……。 そうした自然と共にある営みが根付く土地で、 さまざまな循環の根幹を担う「あか牛」が、 いつしか輪から外れてしまっていたのです。

景観、農業、観光という3つの輪を、 あか牛を軸に繋げること。 そのために、南小国で生まれ育ったあか牛を肉にして、 南小国に還元するプロジェクトが「つぐも」です。


地元産のあか牛は、急にたくさんは増やせません。 地元農家の手により阿蘇の牧野で放牧されるあか牛は、 毎年少しずつ、黒川温泉でいただけるようになります。 そのスピードはゆっくりかもしれません。 しかし、そのゆっくりとした自然のペースを、 私たちは大切にしたいと思っています。

そして「つぐも」は地元の私たちだけではなく、 この地を訪れる皆さんと一緒に進めるプロジェクトでもあります。 黒川温泉を訪れ、湯に浸かり、あか牛を召し上がっていただく── それが地域の経済と雇用、文化を守り、 継いでいく「次の100年」への一歩となるのです。

南小国町

 九州のほぼ中央、阿蘇外輪山のふもとに位置する南小国町。黒川温泉をはじめとする多くの温泉地を有し、世界ジオパークや世界農業遺産にも認定された阿蘇の豊かな自然に囲まれた土地です。古くから高冷地野菜の栽培や林業が盛んでしたが、近年は温泉地の人気が高まり、「2009年版ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」では温泉地として異例の二つ星を獲得するなど、海外からの注目も高まっています。四季折々に移り変わる阿蘇の雄大な景色を眺めることのできる「瀬の本高原」や、太古の遺跡ともいわれるパワースポット「押戸石」なども人気の観光地です。